個人事業主でも、建設業許可は自分で取得できる

「建設業許可は法人じゃないと取れない」と思われている方が時々いらっしゃいますが、そんなことはありません。個人事業主のままでも、要件さえ満たしていれば建設業許可は取得できます。

この記事では、個人事業主の方が沖縄県で建設業許可を取得するまでの手順を、実際の流れに沿ってすべて公開します。書類さえ揃えられれば、理屈のうえではご自身で申請することも可能です。ただし正直にお伝えすると、想像以上に手間のかかる作業です。この記事を読んで「これなら自分でできそう」と思う方も、「さすがに大変そう」と思う方も、まずは実際の手順を知っていただければと思います。

法人でなくても申請は可能

建設業許可の要件(経営業務の管理責任者・専任技術者・財産的基礎など)は、法人・個人事業主のどちらにも共通するものです。個人事業主の場合は「事業主本人」が経営業務の管理責任者を兼ねるケースが多くなります。

STEP1|まず自分が要件を満たすか確認する

書類集めに取り掛かる前に、そもそも自分が要件を満たしているかを確認してください。ここが曖昧なまま進めると、後になって「実は要件を満たしていなかった」と判明し、それまで集めた書類がすべて無駄になりかねません。

経管・専技・財産的基礎…すぐ判断できない方は前回記事へ

経営業務の管理責任者(経管)、専任技術者(専技)、財産的基礎の3つの要件については、こちらの記事で詳しく解説しています。特に経管の経験年数の数え方や、専技の実務経験の証明方法は判断が分かれやすい部分なので、先に確認しておくことをおすすめします。

STEP2|必要書類を集める(ここが一番の山場)

要件を満たしていることが確認できたら、いよいよ書類集めです。正直なところ、個人で挑戦する場合、ここが最も時間のかかる工程になります。

確定申告書は5年分。手元にありますか?

経営業務の管理責任者として個人事業主の経験を証明する場合、過去5年分の確定申告書が必要です。5年分すべて保管していますか? もし紛失している年がある場合は、税務署で「個人情報公開請求」の手続きをして取り寄せる必要があり、これだけで数週間かかることもあります。なお、申告書の「給与」欄に金額の記載があると、その年は経営者ではなく従業員として働いていたとみなされ、経験として認められません。

工事請負契約書は各年4〜5件必要(注文書・請書等でも代用可)

確定申告書とあわせて、経営経験を裏付けるための工事契約に関する書類が、各年おおむね4〜5件分必要です。工事請負契約書そのものが残っていなくても、注文書・請書(発注書とその受注確認の控え)などで代用できる場合があります。5年分となると、単純計算で20〜25件分の書類を探し出す作業になります。ただし、どんな契約書でも良いわけではありません。人工出し(労務提供のみ)と思われる契約書や、工事金額が500万円以上の契約書は、証明書類として認められません。

専技が無資格の場合は、実務経験10年分の契約書が必要

専任技術者になる方が該当業種の国家資格を持っていない場合、実務経験10年分の証明が必要です(出身校によっては3〜5年に短縮される場合もあります)。しかもこの10年は、途中に空白の年があってはいけません。10年分、毎年の工事実績を示す契約書等を揃える必要があり、量としてはかなりのボリュームになります。なお、資格をお持ちの方は、専任技術者となれる資格の一覧表で該当する資格かどうかを確認できます。

残高証明書は500万円以上、取得のタイミングに注意

財産的基礎の要件として、500万円以上の残高が記載された金融機関の残高証明書が必要です。この証明書、実は書類提出のタイミングでは添付せず、後日の面談連絡が来てから取得する方が安全です。残高証明書には有効期限(発行から1ヶ月)があるため、早く取りすぎると申請までに期限切れになってしまうことがあります。

申請書とは別に必要な書類も

ここまでの書類はいわば「要件を証明する書類」ですが、これとは別に、申請書一式に添えて提出する書類も基本的に必要です。

  • 確定申告書5年分(前述のとおり、給与欄への記載に注意)
  • 住民票抄本
  • 事務所の写真
  • 社会保険料領収証書・労働保険料申告書等(該当者のみ)
  • 個人事業税納税証明書
  • 後見登記事項証明書
  • 身分証明書

これらも1つずつ取得先(市区町村、税務署、年金事務所など)が異なるため、揃えるだけでも複数の窓口を回る必要があります。

書類集めだけでも一苦労です。要件の確認だけでもお気軽にご相談ください。

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STEP3|申請書一式を作成する

書類が揃ったら、今度は申請書そのものを作成します。

沖縄県の様式は複数あり、記入例も少ない

建設業許可の申請書は1枚ではなく、様式番号の異なる書類が何種類にもわたります。国交省の共通様式に加えて沖縄県独自の様式もあり、慣れていないと「どの様式に何を書けばいいのか」から迷うことになります。様式そのものは沖縄県のページからダウンロードでき、許可申請書及び添付書類一覧で、どの書類が必要かを確認できます。

ミスが多いと再提出になることも

記載内容に不備があっても、細かいミス程度であれば、後日の面談時に書類を差し替える形で対応できる場合があります。ただし、不備の数が多い場合は、書類一式を持ち帰って出し直しになることもあります。

STEP4|沖縄県庁に提出する

提出先は沖縄県庁11階、技術・建設業課

建設業許可の申請書は、沖縄県庁11階の技術・建設業課へ提出します。持ち込みで書類を預けに行く前に、事前に連絡を入れておく必要があります。

新規許可は、書類提出後に面談の流れになる

新規許可の申請では、書類を提出(預ける)と、後日県から面談の連絡が来て、面談を受ける流れになります。書類を出して終わり、ではない点に注意が必要です。面談では、経営業務の実態や工事の内容について確認されます。このとき、先ほどの残高証明書を持参するのを忘れないようにしてください。

手数料は沖縄県証紙9万円

申請には、沖縄県証紙で9万円の手数料がかかります。証紙は現金でそのまま払うものではなく、主に銀行等で購入し、申請書に貼付する形になります。取扱窓口は沖縄県の資料で確認できます。

STEP5|審査を待つ

標準処理期間の目安

申請から許可が下りるまでの標準処理期間は、1ヶ月です。書類に不備がなければこの期間で進みますが、個人で初めて申請する場合、途中で修正のやり取りが発生し、想定より時間がかかることも珍しくありません。申請から許可発行までの流れ全体は、こちらの資料でも確認できます。

不備があると連絡が来る(その都度対応が必要)

審査の過程で、書類の不足や記載内容の確認のため、県から連絡が来ることがあります。その都度、平日の日中に対応できる時間を確保する必要があります。

実際にやってみると、どれくらい時間がかかる?

書類集めから許可発行までを個人で進める場合、確定申告書や契約書の取り寄せに時間がかかるケースを含めると、おおむね3ヶ月前後を見ておく必要があります。書類がすべて手元に揃っている状態からのスタートであれば、もう少し短縮できる場合もあります。

まとめ|自分で挑戦するか、任せるか

ここまで読んでいただくと分かるとおり、個人事業主でも建設業許可を自分で取得すること自体は可能です。ただし、5年分の確定申告書、20件以上の工事契約書、10年分の実務経験証明など、集める書類の量は決して少なくありません。様式の多さや、面談対応まで含めると、本業の合間に進めるにはかなりの負担になります。

「自分でやってみたけれど、途中で心が折れた」というご相談も少なくありません。要件の確認から書類作成、県への申請まで、まとめて当事務所にお任せいただくことも可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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