建設業許可を取得するための要件とは?
建設業許可を取得するための要件
国土交通省ウェブサイトをもとに作成 国土交通省リンク:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html
建設業許可を受けるためには、4つの「許可要件」を備えていること及び「欠格要件」に該当しないことが必要です。
1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者
(1)経営業務の管理責任者等の設置(経管)
建設業の経営は他の産業の経営とは著しく異なった特徴を有しているため、適正な建設業の経営を期待するためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1人は必要であると判断され、この要件が定められたものです。
経営業務の管理責任者等の設置は許可要件のため、例えば、許可を取得した後に経営業務の管理責任者等が退職し、後任が不在となった場合は要件欠如で許可の取消しとなります。このため、このような不在期間が生じないよう、あらかじめ上記要件を満たす者を選任するなど、事前に準備しておくことが必要
(2)適正な社会保険への加入
健康保険、厚生年金保険・・・適用事業所に該当する全ての営業所について、その旨を届け出ていること
雇用保険・・・適用事業の事業所に該当する全ての営業所について、その旨を届け出ていること
2.専任技術者
専任技術者の設置
建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。見積、入札、請負契約締結等の建設業に関する営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要です。
この専任技術者は、許可を受けようとする建設業が一般建設業であるか特定建設業であるか、また建設業の種類により、それぞれ必要な資格等が異なります。
また、専任技術者は「営業所ごとに専任の者を設置」することとされていますので、その営業所に常勤していることが必要です。
なお、経営業務の管理責任者と同様、専任技術者の設置も許可要件の1つであるため、許可を取得した後に専任技術者が不在となった場合は許可の取消しの対象等になるので、注意することが必要です。
3.誠実性
請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。これは、許可の対象となる法人若しくは個人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等についても同様にです。
4.財産的基礎等
(注)一般建設業と特定建設業では要件が異なります。
建設工事を着手するに当たっては、資材の購入及び労働者の確保、機械器具等の購入など、一定の準備資金が必要になります。また、営業活動を行うに当たってもある程度の資金を確保していることが必要です。このため、建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎等を有していることを許可の要件としています。
さらに、特定建設業の許可を受けようとする場合は、この財産的基礎等の要件を一般建設業よりも加重しています。これは、特定建設業者は多くの下請負人を使用して工事を施工することが一般的であること、特に健全な経営が要請されること、また、発注者から請負代金の支払いを受けていない場合であっても下請負人には工事の目的物の引渡しの申し出がなされてから50日以内に下請代金を支払う義務が課せられていること等の理由からです。
なお、一般建設業と特定建設業の財産的基礎等は、次のとおりです。
《一般建設業》
次のいずれかに該当すること。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
《特定建設業》
次のすべてに該当すること。
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること
欠格要件
許可申請書またはその添付書類中に虚偽の記載があった場合や重要な事実に関する記載が欠けている場合、また、許可申請者やその役員等若しくは令第3条に規定する使用人が次に掲げるものに1つでも該当する場合、許可は行われません。
*国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の[1]から[14]のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあっては、[1]又は[7]から[14]までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならないと建設業法で規定されています。
[1]破産者で復権を得ないもの
[2]不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
[3]許可の取り消し処分を免れるため、廃業の届出をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの
[4]許可の取り消し処分を免れるため、廃業の届出があった場合において、許可の取り消し処分に係る通知の日前60日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しないもの
[5]営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
[6]許可を受けようとする建設業について営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
[7]禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
[8]この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、又は刑法第204条等の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
[9]暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
[10]精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
[11]営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに[1]から[4]まで又は[6]から[10]までのいずれかに該当する者のあるものにかかる部分に限る)のいずれかに該当するもの
[12]暴力団員等がその事業活動を支配する者
※ここでいう役員等とは、以下の者が該当します。
・株式会社又は有限会社の取締役
・指名委員会等設置会社の執行役
・持分会社の業務を執行する社員
・法人格のある各種の組合等の理事等
・その他、相談役、顧問、株主等、法人に対し業務を執行する社員(取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等)と同等以上の支配力を有するものと認められる者か否かを個別に判断される者